小さなパーツが見せる、日本のふるまい。 DR Chair 01 Pad by Daniel Rybakken
小さなパーツが見せる、
日本のふるまい。
DR Chair 01 Pad by Daniel Rybakken
シンプルな表現のなかに、心をハッとさせる新しい視点と確かなエンジニアリングを巧みに織り交ぜていくダニエル・リーバッケン。ノルウェーに生まれ、現在はスウェーデンのヨーテボリを拠点に活動を続けるリーバッケンですが、北欧の針葉樹と日本の針葉樹では、どことなく異なる印象があり、日本のものは陽だまりのなかで心地よく日光浴をしているような温もりを纏っているように感じると言います。
国産のヒノキを用いるMAS だからこそ、素材の魅力をそのままに、日本のふるまいをそこはかとなく感じさせる適切なかたちを導き出したい。そう考えたリーバッケンが注目したのが、隅木(すみき)と呼ばれる小さなパーツでした。隅木は、建築や家具において、全体にかかる力を適切に分散し、構造体の強度を保つという重要な役割を果たします。
何百年という時代を超えた歴史ある神社仏閣の大屋根を見上げたときに、大きく張り出した庇を斜め下から支えているのがまさに隅木です。この隅木は、木造椅子でも頻繁に使われており、座面の下を覗き込むと、座枠の内側に三角形の隅木が付いていることがわかります。
目立つことのない極小のパーツながら、なくてはならない存在。リーバッケンは、構造の裏側に隠されている隅木を敢えて表に出して見せることで、MAS が掲げる素材や自然に対する率直な目線、素直な態度を表現。同時に、シンプルなかたちのなかに、ほかの椅子にはない新鮮なシルエットを生み出しました。
真っ直ぐに伸びた縦のラインが印象的な小ぶりな椅子なので、狭小空間はもちろん、軽量で取り回しもしやすく、カフェやレストランにもオススメ。また、板座に加えて、クッション性のある張り座仕様も新しく追加。穏やかな印象で長時間座りやすいので、ご自宅でのご使用にも適しています。
Styling : Fumiko Sakuhara
Photo : Masaki Ogawa
Writing : Hisashi Ikai