デザインは単にかたちづくることではなく、ときどきの社会環境や文化背景、自然や人の営みと深くリンクするもの。そう信じるヴィッレ・コッコネンは、ものづくりを取り巻く状況を冷静に俯瞰しながら、実用性と機能性に軸を置くデザインに注力してきました。
MAS のコレクションを担当するにあたり、彼がまず思いを寄せたのは、日本の森の姿。自身が生まれたフィンランドにも広大な森は存在しますが、その厳しい気候から樹種は限定され、マツ、トウヒ、シラカバがほとんどです。一方で、日本の森は実に多様で、それぞれの木々が一つひとつの物語を持っていると語ります。なかでもヒノキは、古くから神社仏閣で使われているように、人々が神と存在を重ね合わせる清らかな精神性が宿る様子に独自の美学を感じるそうです。
こうした考察をもとに、ある程度のボリュームをもってヒノキの確かな存在感を示しながら、空間を遮ることなく、暮らしに役立ち、シーンを彩ることができるものとは。さまざまにスタディを重ねたうえでコッコネンが辿り着いたのが、この〈VK Side table 01〉でした。部屋の角にぴったり収まるかたちは、インテリアをすっきりとまとめたいときや、印象的なコーナーをつくりたいときにオススメ。また、椅子、ソファと組み合わせたり、ベッドサイドテーブルとしても使うことを考え、高さを440mm に設定しました。
重さ7.5kg と軽量なので、気分やシチュエーションに応じて、部屋のなかで気軽に移動して、さまざまな使い心地を楽しむことができます。ヒノキが持つ柔らかな空気感と使い勝手を鑑み、天板のエッジは丸みを帯びた形に。それに合わせるように、脚も楕円形に削り出してフォルムを整えています。